はじめての一人旅ガイド

はじめに

一人旅って危険?

一人で海外旅行することに不安を抱く方も多いかと思いますが、一人でも複数人でも基本的な注意が必要であることには変わりありません。ただ、何かあった場合に自力で対応しなくてはならないので、特に旅先の治安を理解して、無防備・無謀な行動は決していないことが肝心です。

逆に、むしろ一人のほう安心だと感じる場面もあります。例えば、団体ツアーだと人数が多くて否応にも目立ちますし、日本語で会話をすれば外国人だと気づかれやすくなります。その意味では一人旅の方が目立ちにくく、なにより「頼れるのは自分しかいない」と気を引き締めることで油断が生じにくくなるとも言えます。

一人旅だからできること

一人旅の最大のメリットは「自分で旅のペースを決められる」という点です。私もバックパッカーとしてアジア周遊旅行をしていた時は、気に入った町では滞在を延長したり、逆に予定をスキップしたり。また、NYやパリへは一点集中で「ミュージアム巡りをする」と決めて、毎日のように美術館・博物館に足を運んだこともありました。

また、移動中や宿泊先でいろいろな国の旅行者と出会うことができたのも貴重な体験です。誰かと一緒に旅行していると、あまり他の旅行者と話すことがないのですが、一人旅だとバスや宿泊先で居合わせた旅行者同士で自然と会話が始まることも。短い期間に新しい人の輪ができるのは旅行の醍醐味でもあります。

一人旅におすすめの国 8選

台湾
日本各地から直行便があり、親日的な台湾は一人旅デビューにぴったり。安くて美味しいローカルグルメやレトロなカフェ巡り、”千と千尋の世界”と形容されるノスタルジックな九份を訪ねるのもおすすめ。

シンガポール
治安が良く英語が通じるので初めての一人旅でも安心感があります。エキゾチックなチャイナタウンやリトルインディア、近未来都市を思わせるマリーナベイなど、主要スポットも公共交通機関だけでアクセスできます。

タイ
バックパッカーからご褒美旅行まで、世界中から旅行者が集まる”微笑みの国” タイ。移動や宿泊の手段も豊富で、寺院巡り、ムエタイ観戦、古式マッサージなど、一人で楽しめるスポットやアクティビティも充実しています。

ベトナム
アジアの活気とノスタルジックさが共存するベトナムは男女共に一人旅の人気が高い国のひとつ。グルメや雑貨&マーケット巡りを楽しめるホーチミン、リゾート地のダナンやニャチャンなど、地方によって楽しみ方もいろいろ。

アメリカ合衆国
NYやロサンゼルスなどの大都市から、雄大な自然エリア、ミュージカルにスポーツ観戦、映画やドラマの舞台となった町など、刺激に満ちたアメリカは新しい景色を求める一人旅にぴったりの旅行先です。

イギリス 
伝統とモダンが共存するイギリスは女性の一人旅にも人気の国。見どころが集まるロンドンはもちろん、湖水地方やスコットランドなど各地に美しい景観が広がっています。ホームステイ気分でB&Bに宿泊するのもおすすめ。

フランス
歴史・芸術・ショッピング・グルメなど魅力的なスポットが集まるフランス。治安についても注意点を守れば極度に恐れることはありません。鉄道網も充実しているので国内外へ鉄道の旅にチャレンジしてみても。

ドイツ
ヨーロッパ主要国の中でも治安が比較的良く交通網も整備されているため、一人で移動もしやすい国のひとつ。中世の面影を残す地方の街並み、本場ドイツビールやソーセージ、産業観光など、楽しみ方も豊富です。

旅先で何をする?おすすめの過ごし方

ミュージアム/観劇

博物館や美術館は一人旅にぴったりの過ごし方。アートや歴史はもちろん、日本にはないユニークなミュージアムを訪ねてみるのも面白いものです。また、ミュージカルや舞台などの観劇も、一人ならチケットの空きも見つけやすいので思い立ったら出かけてみては。

歴史・遺跡・建築めぐり

歴史や建築に興味がある人なら、世界の文明や歴史に触れたり、独創的な建築物をテーマに旅行プランを計画してみましょう。場所によっては日本語のオーディオガイドを借りたり、語学ができればガイドツアーに参加して解説を聞きながら巡ると理解もいっそう深まります。

鉄道・バスの旅

車窓の景色を楽しむのも旅行の醍醐味。長距離ネットワークが充実したヨーロッパ周遊や、アジアなら鉄道を乗り継ぎながらマレー半島を縦断してみても。乗客でごった返すようなローカル路線では貴重品に注意。ゆったり過ごしたい方は特急の指定席を選んだほうが安心です。

スパ/マッサージ

旅の疲れを癒して心も身体もリフレッシュするならスパ体験がおすすめ。なかでもアジアの高級スパは、優雅な空間でたっぷり時間をかけてリラックスできる上に、料金も日本に比べたら手頃です。都市部には深夜までオープンしている足ツボマッサージ店も多く、空き時間に気軽に立ち寄ることができます。

旅行の手配

ツアー
(フリープラン/ダイナミックパッケージ)

「はじめての一人旅で不安がある」、「忙しくて準備に時間をかけられない」といった方は、旅行会社が販売しているフリープラン型のツアーを検討してみましょう。ツアーといっても他のお客さんと一緒に行動するものではなく、旅行会社から送られてくる航空券+ホテル(ツアーによっては送迎付き)の予約案内書に沿って自分で行動するスタイルです。料金は「2名参加」を基本に掲載されていますが、1人参加でも追加代金で対応可能なツアーも多いです(なかには追加代金不要のものも)。

ただ、フリープランの中には、利用するフライトやホテルが予約時に決定せず「○○、△△、□□のいずれか」となっていることも。現地到着が深夜になる可能性もあるので、もし治安が心配な国へ旅行するならば選択肢として適当でないかもしれません。

事前にフライトやホテルを決定したい場合は、カスタマイズ度の高い「ダイナミックパッケージ」を検討しましょう。これなら好きなフライトとホテルを選べるので、旅行中のプランも立てやすくなります。

ちなみに、フリープランもダイナミックパッケージも、旅行業法における取扱いは団体ツアーと同じ(募集型団体旅行)ですので、予約した航空券やホテルについて万一トラブルがあっても旅行会社のサポート窓口へ問い合わせられるという安心感もあります。

個人手配する場合(航空券・ホテル)

一人旅の航空券やホテルを予約する場合、特に以下の点を念頭に置きながら手配しましょう。

深夜に到着するフライトは避ける
安いチケットには「到着時間が深夜」になるものが少なくありません。よほど治安の良い都市でないかぎりは、深夜に空港から市内へ移動することはリスクを引き寄せることになりますので、深夜到着便は避けることをお勧めします。

■宿泊先はリスクの少ない立地を選ぶ
大きな都市には治安の良い/悪いエリアが存在することがあります。グレードのわりに料金が安いホテルは交通が不便な場合もあれば、治安が良くないエリアの場合もあるのでよく確認を。注意が必要な場所はガイドブックや現地の日本大使館・領事館のサイトなどに情報が掲載されていることもありますので事前に確認しましょう。

ホテル周辺の様子を知りたいときは、Googleマップのストリートビューを見てみるのも一つのアイデアです。例えば、道路にゴミが散乱していたり、壁の落書きが多かったりする場所はあまり立地が良くない可能性があります。逆に、写り込んでいる歩行者の中に女性や家族連れの姿があれば一定の安心材料にもなります。

ホテル以外の宿泊施設に泊まるのもあり

ホステル/ゲストハウス/B&B
一人旅ならホステルやゲストハウスに泊まって他の旅行者と交流するのもおすすめ。また、イギリス英連邦系の国々なら家族経営のB&B(ベッド&ブレックファスト)でアットホームな滞在をしてみても。いずれもバス・トイレ共同が多く、ホステルは相部屋(ドミトリー)が中心です。

サービスアパート/コンドミニアム/民泊
長期旅行で自炊・洗濯をしたい人にはサービスアパートやコンドミニアムがおすすめ。宿泊費は割高になりますが、外食費は抑えられますし、”暮らすように旅する” 体験にもなります。こうした居住用物件は、Booking.comのような予約サイトや、Airbnbのような民泊サービスを通じて探すこともできます。

日本出発前に「たびレジ」に登録する

たびレジ」は外務省が提供する海外の安全情報配信サービスです。メールアドレスまたはLINE連携で登録ができ、氏名・連絡先・渡航国・渡航期間を登録することで、滞在先で安全に関する最新情報があった場合に通知が届くしくみです。

想像したくありませんが、例えばテロや自然災害が発生した場合などに、日本語で情報を得られるのはとても心強いですし、状況次第では安否確認の連絡が入るので一人旅をする方には登録を強くお勧めします。

一人旅の持ち物

基本的な持ち物はこちらのページを参照ください。ここでは特に一人旅で用意しておきたいものをピックアップします。

■ガイドブック(電子書籍がおすすめ)
ガイドブックには観光情報やマップだけでなく、現地でのマナーや文化、緊急時の対処法など、安全な旅に必要なアドバイスがまとめられています。路上でガイドブックを広げるのは観光客丸出しで狙われる原因にもなりますから、電子書籍としてダウンロードしておくのがおすすめ。重量やスペースの削減にもなります。

■予備の財布
一人旅でお財布が盗難や紛失に遭ってしまうと途方に暮れてしまいます。そのためお財布は2つ用意するのが鉄則。筆者は予備の財布にも現金とクレジットカードを入れて、施錠したスーツケースの中に保管するようにしています。

■腕時計
スマホを時計代わりにする人も多いでしょうが、旅行中は出先で電池切れする可能性や、万一の盗難・紛失リスクに備えて、腕時計も持っておくと安心です。

■書籍・動画コンテンツ(暇つぶし用)
一人の時間が長くなるのでホテルや移動の待合時間に時間をつぶせるアイテムを用意しておきましょう。この機会に興味のあった本を読んだりダウンロードしておいた映画を見たり、あるいは、その日あったことを日記にまとめてみても。

一人旅の食事

一人旅が好きな人でも「食事だけは不便」と言う人は少なくありません。かしこまったレストランに一人で入るのは気が引けるし、そもそも海外では一品のボリュームが多くて食べきれないことも。というわけで、お手軽&お手頃にローカルグルメを楽しむ方法をいくつかご紹介します。

■屋台・食堂
アジア各地を旅行するなら、地元のローカル屋台や食堂に足を運んでみましょう。辛いものが苦手・お腹が弱いという方には強くお勧めはしませんが、リスクを減らすコツとしては作り置きの惣菜やカットフルーツは避けて「その場で火をつかって調理したものを食べる」ことです。

■フードコート
商業施設・オフィスビル・駅などにあるフードコートなら一人でも気軽に立ち寄ることができますし、セットメニューがあればボリュームも多すぎずバランスのよい食事をとることができます。

■テイクアウト
デリ、スーパーの惣菜コーナー、屋台、マーケットなど、テイクアウトは一人旅の強い味方。語学が苦手でも指さしで必要な個数やグラム数を伝えれば特に困ることもありません。

■自炊
宿泊先で調理ができる環境なら、スーパーで食材や惣菜を買ってきて自炊もあり。ハムやチーズを買ってサンドウィッチを作ったり、冷凍食品をレンジで加熱するクイック料理も便利です。

一人旅の注意点

・荷物はできるだけ少なくする
・身の回り品から目を離さない
・人通りの少ない場所は避ける
・深夜早朝の移動はできるだけ避ける(→その土地の治安状況によって判断する)
・道路に面したATMを利用する時は周囲にも注意を払う
・女性は曖昧な受け答え・態度をとらないように
・旅行日程と行き先を家族・友人に伝えておく
・「たびレジ」に登録する

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